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建築家に設計を依頼することは特別なことと考えている方も多いことだと思います。
しかし表題に書いたとおり、実際は、建築家に依頼することは特別な人たちに許された贅沢ではありません。
予算が少なくても、敷地が狭くても建築家に設計を依頼することは大変意味のあることだと思います。
なぜなのでしょうか?
1・建築家はテーマを持って設計をします。
建築家は常に、テーマを持って建物を設計しています。
敷地の条件や予算による制約は必ずありますが、クライアントの人柄や希望を汲取った上で
この家に息を吹き込むためには、どんなテーマが必要なのか?
ということを考えるところから設計を始めます。
わが国では、1戸建とマンションを合わせると、年間120万戸もの住宅が作られているそうです。
しかし建築家が設計する家の割合はわずかです。
そして、全国どこへ行っても、画一的な住宅が建てられ、街の地域性が失われつつあります。
建築家はこのことに危機感を感じています。
利便性や経済性だけを追及していけば、こういったステレオタイプの家がどんどん作り続けられる事になります。
家をただのモノと考えるのならば、このことも仕方のない事なのかも知れません。
家を単なる入れ物、箱と考える方は、ハウスメーカの作る金太郎飴住宅で満足出来るかも知れません。
家を家族や自分たちの生活そのものととらえるのであれば、もっと快適で、質の高いものを求める事は、当然の事だと建築家は考えます。
そして、コストや敷地などの厳しい条件がありながら、建主にとって快適で、質の高い家を作ることは、この問題の解決策でもあるのです。
2・建築家は既存の間取に捕われません。
条件が厳しいほど、ハウスメーカーなどが基本プランとして用意している「○
LDK」の間取は暮しづらいことになります。
建築家はそれに捕われずに敷地の形状や予算、家族構成にあったプランを考えていきます。
建築家にとって大切なのは、建主がどういった暮しを望んでいて、それを実現するためには何が必要か、ということです。
ハウスメーカーや工務店の設計と根本的に違うのがこの点で、家のプランや外観をを検討する前に、
まず建主自身の人間性を把握して、建主が家に求める本当の欲求は何かを把握してから計画を進めて行きます。
知人などから紹介された場合はともかく、全く知らない建築家に連絡するのは、勇気がいることでしょう。
ハウスメーカーの営業マンのように自分から近寄って来ることはありませんが、依頼をしてきた建主に対しては、自分のできる最大限のことをする努力をするのが、 建築家の本能のようなものだと思って下さい。
実際の連絡は、電話やFAX、Eメールや手紙など、どんな方法でもいいでしょう。
建築家は、多忙で留守がちですから、できればEメールやFAXなどがいいでしょう。
その段階で知らせることは、
1・家を建てたいこと
2・その建築家のどの家を見て、どう感じて依頼しようと思ったか
3・一度会って話がしたいこと
4・だいたいの予算はいくらぐらいか
といった事でしょう。
自分の連絡先としては、住所や電話、FAX、Eメールなどを記入しておいてください。
建築家はEメールを利用する人が多いとおもいます。
細かな打合せの時も便利です。
(お互いに時間に束縛されず、整理した情報のやり取りができるからです。)
連絡をしたあとで、会ってもらえるかどうか、建築家から返事がくるでしょう。
たまには、連絡をしても会ってもらえないこともあるでしょう。
また、忙しいので待って欲しい、といわれる可能性もあるでしょう。
多くの建築家は、少数のスタッフで仕事をしています。
例えば複数の設計を抱えていて忙しいときや、大きな建物のコンペティションに参加するための、応募作品を製作している時など、時期的に無理なこともあります。
建築家と会う約束をしたら、多くの場合は、建築家の事務所を訪ねることになると思います。
(建築家に連絡をしても、ハウスメーカーの営業マンの様にその日にでもあなたの家に馳参じるという事はまずないと思って下さい.....別に威張っているのではないのですが.... )
建築家の事務所というと、どんな所だろうかと思うかもしれませんが、たいていは、マンションの一室など、小さな事務所で仕事をしている場合が多く、看板などももない場合がほとんどです。
建築家の資料が最も揃っている所が、その事務所です。
まずは今まで建てた住宅の例を見せてもらうといいでしょう。
そうした話のなかで、この人とは話が合うな、とか、暮しに対する考えが自分と似てるな、とか、いろいろな事を感じて下さい。
同時に建築家の側も、建主の人柄やセンスなどを感じながら、建主が自分にどういったことを望んでいるかを考えていきます。
もし設計を依頼することが決まったら、家族のことやお金の事など、プライベートな事柄を建築家に打明けなくてはならなくなります。
そのためには、建築家と確かな信頼関係を築けるかどうかは大変重要なことです。
本音で話し合えなければ、いい家は出来ません。
最初の相談では、お互いにそれが出来る関係になれるかどうかを判断することが大切です。
最初の相談では、設計を依頼するかどうかは決めなくてもよいでしょう。
また、断ってしまった場合も、費用がかかることはまずないと考えてくださって良いでしょう。
ハウスメーカーの営業マンのようにしつこくつきまとわれる心配もないと思って下さい。
最初の相談あるいは 何度か会ってみて、その建築家と御互いに信頼関係が築けそうだと判断した場合、
敷地や予算に合わせてラフプランを作成してもらうといった段取りになることが多いと思います。
そして、そのラフプランを見て、この建築家に設計を依頼することで自分の望む家が出来そうだと判断出来たら、建築家に設計を依頼することになると思います。
この時点で、どうも違うなと感じて断った場合、費用を請求されることはあまりないと思います。
(建築家の側から見れば、ラフプランといっても創造力をかけて作成 しているので、
費用に換算すれば実はそれなりの額になるはずなのですが、自分の提案が気に入ってもらえなければ、
仕方ない事と割り切っていると思います。)
設計を依頼すると、何回かの打合わせを通じて基本設計がまとめられ、
建物の大枠が決まった時点で実施設計にとりかかる事になります。
その段階でも相性が合わないと感じる事があるかもしれません。
そのような場合は、 出来るだけ早めにその意向をはっきりと伝えることが大切です。
建築家の仕事は、建主と最初に会った時からスタートしています。
頭の中では、その建主に合ったプランを考えはじめているし、早い段階でスケッチや模型作りを始める人もいます。建て主には見えないところで様々な作業が進んでいます。
時間がたてばたつほど、建主にも、建築家にも負担が大きくなります。
正式に設計の依頼があった後では、その時点までかかった費用の支払いをして下さい。
その建築家はあなたのためだけに相当の時間をついやしているのですから。
ハウスメーカーや工務店に頼んだ場合、設計料は事実上無料である場合が多いと思います。
請求されたとしても、安いものである場合がほとんどです。
つまり両者とも、家の建築によって多くの利益を得るから、設計料はサービスにしても構わないということなのでしょう。
それに比べ建築家は設計料をほぼ唯一の収入として事務所を経営してます。
それ故に、建築家は 建主に設計料を明確に請求しますし、建て主はそれを支払わなければ、建築家に設計を依頼することは出来ません。
設計料は、正確には「設計監理業務報酬」といい、建設省の告示などによって、一定の算出方法があります。
その算出方法によると3000万円の戸建住宅で建設費の21.8%にもなります。
しかし実際の場合、建築費の10%から15%の料率を一般的な費用として算定する建築家が多いと思います。
(私の事務所では独自の料率表を作成しておりますが、建設省告示の料率のおおよそ0.5から0.6となっております。)
一方でただ同然に設計してくれる所があって、建築家が10%とるとなると、建築にかかるコストが、単純に10%高くなると思われるかも知れませんが、 しかしそれは間違いです。
例えばハウスメーカーの場合は、営業マンの給料やモデルハウスの建設維持費、宣伝費等をかけて営業しています。
その経費は見積には表れないが、どこかで建主に負担がかかっているはずです。
業界関係者では、建築費の3〜4割くらいはこれらの経費にかかっている、というのが常識です。
それに比べ建築家の場合は、建築費がより純粋に家にかけられる、と言えます。
(建築家の事務所をご覧になれば分ると思いますが、ほとんど宣伝や広告に費用をかけてはいません、建築家の紹介する建設会社も宣伝や広告に頼るのではなく、地道な実績で仕事を得ている様な会社が多いはずです。)
さらに建主のために、見積の正確なチェックや、条件に合せた様々な工夫をしていきます。
予算が厳しいほど建築家に頼む方がいい、という理由はここにもあるのです。
もうひとつ大切なのは、建築家は設計だけでなく現場の監理もするということです。
いま欠陥住宅が問題になっている根底には、日本の住宅の大半が、監理者なしに建てられていたことがあります。
ハウスメーカーや工務店の場合も現場監理を行う責任者はいますが、同じ会社に属する人なのでその監理には限界があります。
それでも、家を建てるという責任感を持った、しっかりした現場監理がされてきました。
しかし、コストが厳しくなってきた場合、最初に利益を差し引いた予算で施工をしなければならない現場ではその責任感にも限界が出始めています。
地場の工務店の場合、一度欠陥住宅を作れば仕事がこなくなってしまうから、安心して工事を任せられたという過去の実績はあります。
しかし住宅性能保証制度などが注目されている現状を考えると、日本の建設現場でも、監理者の存在を明確にする時期が来ているのです。
建築家は、建主の立場にたった第三者として、施工の各段階で、設計通りに正しく工事が行われているかをチェックしていきます。
なにより建築家の目が光っている、ということで現場の空気は一変します。
建築家のこの役割は、これからますます大切になると思います。